独り言多めの読書感想文

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朝井リョウさん『スペードの3』読書感想文、序


「特別」という言葉に弱いのは、すでに自分が特別ではないと分かっているから。あるいは「やっと本当の自分を分かってくれる人が現れた」と安心できるから。

 

 魔法騎士レイアースという漫画があって、作品内で「その人用」の武器が錬成される。本人以外が手にすると、燃えたり、液状化したり、重量が増したりして、武器としての役割を果たせなくなるものだ。「特別」という言葉を聞くと、私はいつもそれを思い出す。この世には自分用に設られた武器があり、自分にしかできないことがあると、束の間幼い夢をみる。

 

 けれど現実、人は賢い。集団で生き延びてきたのだから、むしろ賢い。賢い集団で生き延びてきた中での「特別」など、種のレベルで害。今から書くことは今までに一度も「計画通り」とニヤついたことのない人には関係のないこと。時間を無駄にしないでほしい。一方で身に覚えがあるのなら、あなたには素質がある。烈火の炎に出てくる双角齋の素質が。
 この度朝井リョウさんが雷覇の如く喉元ブッ刺してくれるから、ありがたく受け入れるように。ごふ。オンタイムで流血しながらしゃべってる誰だお前。私です。

 

 さて、基本的に人にはどこか人を意のままにしている感覚がある。いずれ答え合わせをする機会があって、真実はその時知れる。そうして大概意のままではない。出し抜いたつもりで笑われている、そんな日常。人は神様じゃない。人をコントロールなんてできない。人の上に人はつくられていない。
 あなたが自分の中に描いているその人は実在しない。深淵がなんとやら。それを覗いているあなた自身が見られていることを決して忘れてはいけない。

 

 全4本(付録2本)。これは短編一本目、148Pから生成したものだ。
 ネタバレを含む上、少々長くなるが、よろしければお付き合い願いたい。

 

1、【小学6年生の大人】
2、【勘違いと書いてスペードの3と読む】
3、【キングは勝手に落ちた】
4、【ジョーカーが強い本当の理由】

 

 

双角齋:自分の身体より大きな壺をもち、付属の粉をかけた相手をその中に閉じ込めることができる。男は求愛を拒んだ女性達に使用していた。中は音のない闇で、時間経過とともに精神を破壊される。
仲間を囚われた雷覇は、助けるために自ら飛び込み、結界の大元を刀で刺すことで壺を破壊。この刺した先に丁度双角齋の身体があって、一緒に刺されるっていうぎゃあああああ。