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【簡易グルメトリップのすすめ】柚木麻子さん『その手をにぎりたい』


柚木麻子さん『その手をにぎりたい』を読書感想文してみる。

残念過ぎる描写に「スケッチから始めようか」とアドバイスして下さった学生時代の某先生、私は元気です。描写関係なく元気につぶやいてます。間違えた。
そんな「心情しかつづって来なかった私」がおこがましい……! という問題はスルー。だって個人の感想だもの。それが私の愛し方よ。

 

この作品の美点は「簡易トリップを実現させる、リアルな時代描写」「『グルメ小説』と言わしめるだけの食事の描写」「安全な枠を飛び出して戦う女性の描写」など数多くある。

描写によって、その時代その世界その人の感情を共有する。感情輸入。性差年齢立場全てを統一し「その人」に成り代わる。使役は作者。別に特別なことじゃない。誰でも当たり前にやってること。ただ、この「当たり前」がクセモノ。

川崎フロンターレ中村憲剛さん、ガンバ大阪遠藤保仁さん。どちらも私が好んで見るサッカー選手だが、その共通点は「ボールを止めて蹴る」精度の高さ。私にとっての一流は「スルーしがちな足元に焦点を当てられる」イコール「どこまでも謙虚な人」である。

 

ほんで何を言いたいかと言うと、結局何だかんだ挙げたところでこの作品の美点は「綿密な背景描写による臨場感」に集約される(私調べ)時間をかけるに相応しいか否かの一つの線引きになる土台固め。いかに深いところに引きずり込めるか。読み終わった時、息継ぎするように天を仰がせられるか。

流れる風景と共に追いやられてしまわないように生み出す、刹那的なイレギュラー。「今何か見えたよね」確かに感じたことのある思いを、必ずしも自分が生きた訳ではない時代の中に見出す。

 

場合によってはなかなか不自由な旅行。いっそのこと「時代」飛んでみませんか? 横がダメなら縦で的な。

そんな訳で「グルメ小説」としては非常に美味、「旅行小説」としては非常にバブリーなこの作品、一人で味わうには勿体なさすぎる(ここでは主題外れるから書かないけど「恋愛小説」としても非常に優秀。大人な恋)

 

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました😊うれしい。

あなたの読書ライフが、より実りあるものになりますように✨